雨が見ていた~Painful love~


「パスポート持ったらさっさと出てけ!!この状況見たら俺と美織がどういう状態かわかるだろーが!!!」



ウギャア!とココロの限り叫ぶと



「うーーん、そうしてやりたいところは山々なんだけどキョウちゃん。残念ながら君にはタイムリミットが差し迫っております。」



そう言って
クソオヤジはニコニコ笑いながら
ポケットの中に手を突っ込んで、俺に一枚の航空券を差し出す。



――なんだ、こりゃ。



美織を抱きしめたまま首を伸ばしてチケットを見た瞬間



「え、え、えぇーーーーっ!!?」



俺は腰が抜けるほどの衝撃を受けた。



「ふふー。
一緒に成田に行きたいから、オマエの飛行機変えたんだ~♪」


クソオヤジはニコニコ笑いながら、こんな悪魔なセリフを俺に吐く。





オヤジが俺に見せつけた航空券には


【アメリカン航空 成田‐オーランド
 出発:6時55分
 到着:18時15分】


と記載されている。




「ろ、6時55分!!?」





って…あと7時間ちょいしかねーじゃねぇか!!!




「やっぱり俺がパスポート忘れたのも家族水入らずを大切にしなさいって言う神様からの啓示だと思ってさぁ~。
カワイイ響弥と一緒にいたくてさー。」




アホかーーーっ!!
ふざけんな!!

ムカつく
ムカつく
マジでムカつく!!!!


大体なんで勝手に変えるんだよ!!
俺が最初に取ってもらったやつは16時出発だったはずだぞ!!!



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