雨が見ていた~Painful love~
大体さー。
俺もあんな無粋なことはしたくなかったワケよ。
響弥が美織のコト好きなのは、薄々気づいてたしさ?なんてったって今日は二人でいられる最後の夜じゃんか。
親としても男としてもそっとしといてやりたかったんだけど……
いまからハワイに行くぞ!って時に
『あ、藤堂??
今すぐ家帰って美織の貞操を守ってきて。』
だなんて言うんだぞ??
イヤだって言って断ったら断ったで
「あっそ。
じゃぁ理央ちゃんにオマエの秘密を洗いざらいぶちまけるぞ。」
「え、えぇーっ!!?」
「ほら。理央ちゃんが響弥を妊娠してるときにさ??オマエ辛抱堪らずに“オトナのお風呂”に行ったよな~??」
「だーーーーっ!!!」
「しかも1回だけじゃなく3,4回。」
「う、う、う、うわーーーーっ!!!」
「困るよな?そんなことバラされたら困るよな??
じゃぁ今すぐ響弥を止めてこい。飛行機のチケットも早朝出発に変えて、サッサと美織と引き離してこい。」
だなんて言うんだぞ??
ムリだろ。
どうやったってNOって言えねぇだろ。
え??
そもそもそう言うところに行ったオマエが悪いって??
アホかー!
若気の至りってやつだよ!!
溜まってたんだよ!!
抜きたかったんだよっ!!!
しょーがねーだろーー!!?
そんなこんなで響弥には可哀そうなことをしてしまったわけだけど……。
俺は大きくため息を吐いた後、スーツケースを引きずってハワイ行のカウンターを目指す。
そして心の中でカワイイ愛息子にエールを送る。
頑張れ、響弥。
敵はかなりの強敵だぞ!!
父ちゃんもアイツには何度も煮え湯を飲まされた経験があるから、オマエの気持ちは痛いほどわかるぞー!!
敵はとっても強敵だ。
二人で一緒に力を合わせて倒すんだーー!!
俺はそんなことを思いながら、広い成田空港をテクテクと歩いていたのだった……。
【あの時の真実・Fin】