雨が見ていた~Painful love~
ちょ、ちょっと!!
「ちょ……、パパ!?仁くんっ……!!」
――し、しまったぁ!!
焦りがMaxに達して、
思わず漏れたいつもの呼び名に、父と兄は一瞬キョトンとしたまま凍りついていたけれど
「ぶはははは!」
お腹を抱えて二人は大声で笑いだす。
ひ、ひどい!!
そりゃあ、こんな場面でプライベートを持ち込んだ私が悪いんだけど、そんな盛大に笑わなくったっていいじゃないっ!!
「美織はやっぱりかーわいーい♪
うんうん、パパはそういう天然なキミが好きだよー。」
「あはは!
いつもクールビューティーぶってるのに、なんだそりゃ!!」
ゲラゲラ笑いながら
私を完全にバカにしている、男二人。
――うう、ムカつく……!!
二人の大笑いをブスッとした顔をしながら睨み付けていると
「オイ、クソ美。」
懐かしい呼び名が
彼の口からポロリと漏れる。
――え……??
彼の言葉に感じた
何とも言えない懐かしさに、身を委ねながらフッと彼に視線を戻すと
「俺、喉乾いたんだけど。」
「……は??」
「は??じゃねーよ。
さっさとコーヒー持ってこい!!」
ひ、ヒイイイイ!!!
鬼の形相をしながら
キョウちゃんは私をギロリと睨み付ける。