雨が見ていた~Painful love~
――ま、これで一安心だ。
そう思って胸をなでおろしていると
「あんまり、俺のカワイイ妹を苛めてやってくれるなよ??」
仁はチクリと忠告をする。
「オマエと美織の間に何があったのかは知らないけどね。相手を傷つけるだけの恋愛は、いつかお前自身をも傷つけるぞ。」
「ウルセェな。余計なお世話だよ。」
そう言って
俺は仁との電話を切った。
――傷つけるだけの恋愛…ね。
その言葉を噛みしめつつも
俺は心の中で反論してた。
あのな、教えてやるよ。
傷つけなきゃ始まらない
傷つけなきゃ、伝えられない
そんな恋もあるんだぞ?仁。
俺があの日メチャメチャに傷つけたから、美織はキレイな体のままだったんじゃねーか。
俺があの日思いっきり傷つけたから、8年たっても美織は誰のモノにもなってなかったんだよ。
それってさー??
俺があの日、あの激しい雨の夜
無理やり美織を抱いたから、こうなったんだろ??
それなら結果オーライ
思惑通りじゃねーか。
悪いけど俺は人間ができてねぇから“美織が幸せならそれでいい”なんて絶対に思えねぇ。
誰かのモノになってる美織なんて絶対にイヤだ。
美織は…俺のモノだ。
あいつの髪も
あいつの白い肌も
予想外に感じやすいあのカラダも
全部全部、俺のモノだ。
非道だろうと
鬼畜だろうと
悪魔と言われようと
そんなことは関係ない。
欲しけりゃ奪う
それは俺の信念なのだから。