つめたい海のカナリアと魔物
お母さん!
とちびは悲鳴をあげました。
お母さんのまっしろな体に
まだらの怪物の歯が食いこんで
真っ赤な血がお水に広がりました。
このままではお母さんが殺されてしまいます。
けれどもお母さんは逃げようとせずに、
なんども怪物にかみつきます。
お逃げ!
と怪物と戦いながら、お母さんがちびにさけびます。
力のかぎり泳いで、遠くに逃げるのよ!
お母さんもあとから追いかけるわ!
ちびはむちゅうで泳ぎました。
それが、
大好きなお母さんの
ちびが聞いた最後の声でした。