つめたい海のカナリアと魔物
やっと仲間から逃げきったとき
まだらはボロボロになっていました。
お母さんが生んでくれたりっぱなひれもしっぽも
ずたずたにひきさかれてキズだらけでした。
かなしくて
さびしくて
ぽっかり夜空にうかんだお月さまを見上げて
まだらは
きゅうきゅうと声を出して鳴きました。
まだらはあの子どもとお母さんに
悪いことをするつもりはなかったのです。
まだらはただ
もういちど仲間といっしょに泳ぎたかっただけでした。