NY恋物語

その隣には秀明がショットを打った瞬間の
大きな写真があり サイドボードの上には
秀明の載った写真雑誌が平積みにされ
TVの横には その背に日付と対戦相手の名が入った
試合のビデオが積み上げてある。


壁一面を天井まで覆う書棚には
経営学や法律、スポーツ医学や
心理学の本がズラリと並び
日本の文化や歴史についての書籍と
料理の本も収められていて圧巻だ。


この探究心の全ては
秀明をサポートする事へ繋がっているのだ。
それが彼女の仕事だとはいえ
この熱心さには感心せざるを得ない。


それに比べて自分はどうだろう。
私は秀明のためになるような事を
しているだろうか。
それよりも・・・
むしろ妨げになっているのではないかと
考えるほどに情けなくなってくる。


けれどいくら仕事とはいえ
彼女のこの思い入れ様は
果たして本当に
ビジネスパートナーとしてだけの思いなのだろうかと
小さく湧いた猜疑の心は
向ったキッチンでさらに大きく膨らんだ。



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