NY恋物語
Ⅷ
「莉奈」
シャワールームでもベッドでも
私は嵐に舞う小さな木の葉のように
秀明の熱情に翻弄されて
何度も高みへ駆け上がり
そのたびに弾けて散って
また彼の腕に掬い取られた。
「もぅ…ダメ」
「まだだ」
「莉奈」と何度も私を呼ぶ彼の声が
体のすみずみに反響して
奥深くを震わせる。
熱く溶け出した欲望が
そこで繋がる秀明を狂おしく捉え
甘く絡まる刺激となって
彼へと還っていく。
「もっと…もっとだ」
「あ…」
飽く事無く
私を求める秀明の律動が緩くなり
舌先は胸の頂を
指先は秘所の花芯を優しく愛撫し始めた。
些細な刺激でさえ敏感に感じてしまうポイントを
同時に煽り甘やかに焦らしながら
これ以上ないほど私の欲望を高めていく。
秀明は、まるでそうする事が儀式であるかのように
いつも私を先に絶頂へと押し上げて
激しい刹那の快楽に酔わせてから
思うまま時間をかけて存分に自分が愉しむ。
でも・・・今日はそうはさせない。
「いつも、ずるいわ」
「そう…か?」
「そうよ」
一緒に感じたい。
眠りから醒めていく感覚にも似た
高みへと舞い上がる、あの瞬間を。
秀明は「わかった」と
吐息だけで囁くと
一気に繋がりを深くした。
ピタリと隙間なく重なった肌の熱が
さらに高くなる。
彼の貪るような激しいキスと
艶かしい揺さぶりに
私は獣のように興奮し
快感だけを求めて広い背中に爪を立てた。
秀明…!
声にならない声を上げ
弾けた意識が霧散して
また…それが戻った時には
暖かい腕の中に包まれて眠る私がいた。