愛を叫んで地に堕ちて〈全イラスト41枚つき恋愛ホラー〉
 なんて。

 そんな昔のことを真珠が思い出したのは、あんまり蝉が騒がしかったからかもしれない。

 だから。

 連日続く熱帯夜で眠れずに、つい。

 高校二年になった真珠は、夏の終わりの演劇部合宿の最中。

 うつらうつらとまどろみ、おかしな夢を見たのだ。

 それは、闇に舞う首の夢。

 夢のせいか、見ている真珠に、恐怖は無く。

 名前を聞けば。

「私は過去よ」

「現在よ」

「未来よ」

 などと応える顔の見えない『輪廻(りんね)の記憶』という名の女神たちの夢を。

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