愛を叫んで地に堕ちて〈全イラスト41枚つき恋愛ホラー〉
 そのことに気がついて、強く凪を抱きしめていた真珠の手が緩む。

「真珠……?」

 真珠の変化に、戸惑う凪がささやけば、彼女はいやいや、と首を振った。 

「ごめんね……?
 海野君、わたしは今……勇斗を……」

 ……愛してるの……

 そう、呟きかければ、凪は真珠を強引に抱きよせた。

「なんでだよ! あんな奴!
 確かに、顔が良くて、金持ちなのは認めるけど、それだけの男じゃないか!
 我がままで、乱暴で、強引で!
 まるで、前世の晶左と何も変わってない……!」

「彼は晶左ではないわ……
 勇斗が、わがままなのは、お父さんとお母さんが、別居してて、勇斗にちゃんと『好き』って言ってないからよ?
 ただのさびしがり屋なんだわ。
 確かに乱暴で強引なこともあるけれど。
 間違えたらちゃんと『ごめんね』って言ってくれるヒトよ?」

「でも、真珠!
 あいつは、晶左だ!!」

「違うわ!
 それに、あなたも『茂吉』じゃないじゃない!」

「真珠……!」

「わたしだって、あの時の『真珠』じゃ……」

「……あの時の真珠じゃないから、俺が、君を愛さない。って思うのか……?」


 言って凪は、自分上着をはだけると、その素肌に、真珠の手を導いた。
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