愛を叫んで地に堕ちて〈全イラスト41枚つき恋愛ホラー〉
 わらび餅を食わせても、ちゃんと昔のことを思い出さない勇斗を、死ぬ寸前まで、傷つけてみたんだ。

 そう言って笑う凪の瞳は、暗く壊れかけていた。



「そしたら、コイツ、なんて言ったと思う……?
 過去の記憶を全部、完璧に思いだしたくせに……っ!
 前世では、人魚を手に入れるためには、真珠を捨てても良いと言った、晶左だって認めたくせに!
 今になって真珠のコトを自分のものだ、なんて言いやがるんだ!!!」

「……真珠は『俺の女』だ」

 と。

 勇斗は、凪につけられたひどい怪我を負っているにも関わらず。

 そう、権利を主張した。

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