愛を叫んで地に堕ちて〈全イラスト41枚つき恋愛ホラー〉
緑の滴るように広がる、緑園都市の隅に、何百年もの歴史のある神社がある。
散々とやまない蝉の鳴き声を聞きながら、凪(なぎ)は今。
社(やしろ)から出て来た所だった。
木々の隙間から差す、夏の日の木漏れ陽は。
昔も今も変わらず、熱い地面に強烈な光と影のコントラストを描き。
空を眺めれば、入道雲が青空を彩っている。
そんな景色を眩しげに見て、凪は何年経っても世界は、何も変わらないな……と呟いた。
凪が神社に用があった、と言っても別に。
年の暮れでもあるまいし、殊勝にお詣りをして来たわけではない。