愛を叫んで地に堕ちて〈全イラスト41枚つき恋愛ホラー〉
そもそも。
真珠のばあちゃんは、不思議なヒトだった。
夏休みに泊りがけで遊びに行くたびに、いろんなことを真珠に教えてくれた。
他の大人が教えてくれないことを。
「真珠?
どんなに辛いことがあっても、自殺だけは、しちゃいけないよ」
「なんで?」
蝉がうるさいほど鳴く昼下がり。
初めてばあちゃんから話を聞いた時、真珠は、まだ、小さかった。
そして、毎日を楽しく生きていたから、世を儚(はかな)んで死ぬ気はなかったけれど。
子ども相手に、真面目な顔をしているおばあちゃんの真剣さが、真珠にひしひしと伝わり聞けば。
おばあちゃんは頷いた。
「自殺をすると、輪廻(りんね)の輪から外れちゃうからだよ」
「……輪廻?」
「人は、死ぬとそれで終わりじゃないんだよ。
『来世』って所に、次の新しい人生が待っているんだ。
この世で苦労したら、生まれ変わった次の世では、また。
人間に生まれ変わってきっと、幸福になれる。
……でもね。
自殺は、道を外してしまうことだから。
その『幸福の順番』を乱してしまうんだよ」