不良王-キング-と物静かな姫-プリンセス-
初登校。
4月某日。
「…いってきまーす」
「ちょっと柊哉!?制服ちゃんと着なさいよ!!入学式なのよ!?」
「べっつに…よくね?」
うるさいお袋をあしらいながらブーツを履く。
普通ローファーのところをブーツにすんのが鈴平らしい。
「よくないわよ!!もー!ネクタイぐらいちゃんと締めなさい!シャツも入れてよ!!」
「へいへーい。いってきまーす」
家を出ると、茶色い頭が見えた
「コウ。」
「はよ、シュウ!ニュー制服に新学期だぜ!!って相変わらずの着崩しっぷりだな…さすが不良w」
俺はただブレザーを開けて、シャツ出ししてネクタイきちんと締めてないだけだし。
コウはブレザーの下にパーカー着てるし。
ネクタイすらしてねーじゃん…
「るせ、パーカー着てるやつに言われたかねー。つかテンションたけーよ」
「テンションあがんねーシュウがおかしいって」
コイツは南条宏<ナンジョウコウ>
幼稚園から仲のいい親友。いわゆる幼なじみってヤツだ。
俺、雲雀柊哉<ヒバリシュウヤ>と南条宏は、名門である鈴平学園に合格し、今日から新学期が始まる。
「あの鈴平学園だぜっ?楽しみだなー!つかブーツ歩きずれ。」
「お気楽だなぁお前…ブーツインだからまだマシだろ?」
「シュウと違って、頭悪いからな!!…確かに、うん。」
「威張んなアホ」
そう、俺は頭がいいのだ。見掛けによらず。←
別に不良が頭良くたっていいだろ。
「あー恋出来っかな♪」
「勝手にしとけバカ」
「あ、中学みたく喧嘩ばっかすんなよ?」
「…好きでしてたワケじゃねーよ。あっちが吹っ掛けてきたんだし。」
「まぁ見事なまでに無敗でしたけどね。さすが、“バード”」
「俺その異名嫌いだっつーの!“バード”って雲雀って名字からきてんだし…」
「実際あってるぜ?お前、自由でなんにも縛られてなくてさ。しかも鳥名字は全くいなかったし!」
「………」
ゴンッ
思いっきりコウを殴った。
「イッテェ!!う゛〜!お前な!長年の経験で培われたパンチ力がどれだけ自分にあるか知ってんのか!?」
「知らね。」
「短気!不良!」
「お前な、もっかい殴られてぇのか!?」
「エ。冗談です!!」
「だよなぁ?…あーぁ。だり…」
スッ。
目の前を黒髪のロングヘアの女子が歩いていった。
本当に綺麗なサラサラの黒髪で色白で。
朝日に照らされた横顔は、まるで…
「天使みてぇ…」
「シュウ?どうかしたのか?」
「!なんでもねー…」
コウにバレないように前を見たら、女子は何処かに消えていた。
「(制服、見忘れた…アイツ、笑ったらどんな顔すんのかな…)」
ガシガシと茶黒の髪を掻いた。
なぁ、このときからお前を天使だと思ってたって言ったら…
お前は、俺を笑うか?
――――