Liars' clovers
 ぼくらは村で一番大きい通りに来ていた。大きいといっても村人が一番利用する通りというだけで、たいした広さはない。

 もともとの人口が少ないため、昼でもあまり人は通っていなかった。

 森へ行くにはこの通りを横切らなければならない。誰かに見つからないよう、通り沿いの建物の隙間にぼくらは隠れてタイミングをうかがっていた。


「ね、ねえ……」

「しずかに」

 戸惑った様子のエミルを短くたしなめる。声を聞かれて見つかってしまったら終わりだ。

 ぼくはいままでになく緊張していた。


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