Liars' clovers
 でも幸せの四つ葉ってどんな風に咲いているのかしらね――そう呟いた彼女は何か考え込んでいるようだった。

 たっぷり十秒は数えられるくらいの時間考え込み、そして出し抜けに言った。

「……わたし四つ葉が欲しいわ」

 唐突な要望に首を傾げる。

 しかし、彼女が何かを望むのははじめてのことだったので、ぼくにできることならなんとかして叶えてあげたいと思った。

「それなら明日、丘で探してきてあげようか?」

 善意からの提案だったのだが、彼女は苦笑して首を横に降る。

「パパと同じことを言うのね。……知ってる? 四つ葉の幸せは自分で摘まなくちゃ意味がないのよ」

 だから、と彼女は続ける。

「――探すならわたしも一緒に連れていって」



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