ナツメ
それからどこをどうして部屋に戻ったのか覚えていない。


アパートのポストには、読まれることなくゴミになった新聞紙。
それらをまとめて手に持って、一ヶ月ぶりにアパートの階段を昇った。

息が切れる。
それはそうだろう。
約一ヶ月もの間、ほとんど動かなかったんだから。

明日からの仕事が思いやられるなと、部屋の鍵を開けた。


むっとした空気がまとわりつく。

部屋へとはいってカーテンを開けて、窓を全開にした。
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