ナツメ
探して探して、からっぽの部屋を見るくらいなら、探さないほうがマシだ。

ナツメがいないことを思い知らされるくらいなら。


今も、どうして最後の五日間をナツメが捨てたのかわからない。

「どうして?」

パソコンに向かって話しかける。

そして逆のことを考えてみる。

残りの五日を約束通り一緒に過ごしていたなら?

「あなたは」
「わたしを解放しなかった」

そうでしょう?

わたしがあなたに惹かれはじめていたことは、あなたもわかっていたはず。

そして、あなたはそれを拒絶した。

触れずに距離を置いた。
温もりを知りたくなかったのでしょう。
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