ナツメ
「縛られることも苦痛じゃなかった」

「知ってる?」

「今は」

「身体は自由だけれど」

「今も」

「心は」

ナツメ。

あなたに縛られている。
あなたに愛されたまま生きている。

あなたと過ごした日々は異常だ。
あれは正常な人間のやることじゃない。

それをわかっていたから、あなたはまともな思考が働くうちに、わたしを捨てたんだ。

あの残りの五日は人間の証。
そして、このメールだって人間の証。

毎日あなたにわたしが言っていた言葉を、あなたは返してくれたのでしょう?
< 123 / 136 >

この作品をシェア

pagetop