ナツメ
おかえり。

そんな言葉、父親は言ってくれなかった。
帰ってきたのかと嫌そうにわたしを見るだけだった。


毎日毎日、あなたがパソコンの中から、わたしにそう言ってくれるだけでわたしの心はキレイな水で溢れ返る。

生きてて良かったとすら思える。

愛されていると感じて心が走りだしそうなくらいに喜ぶんだ。


ナツメ。

あなたもそうだったんじゃないかな?

わたしが待っていて「おかえりなさい」と言うだけで。

あなたは少しづつ愛することと愛されることを学んだのでしょう。

そして、やがてそれはあなたをまともな人間へと変えていったのだと、わたしは信じて疑いません。

わたしがそうだったんだから、あなたもそうでしょう。
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