ナツメ
「おはよう、は?」

「おはよぅ」
「今日から仕事に行くんだよ」

仕事? 
なんだかその言葉がひどくナツメに似合わない。


「なに、その顔。俺が社会人してたらおかしい? 
君みたいに俺は一ヶ月も休めないからね」


言いながら、わたしを手招く。
時間がないから早くしろと言わんばかりだ。

仕方なく、のろのろと足を動かして、ナツメの傍へと行き、いつものようにナツメの少し後ろに立って、ナツメの背中を見ながらリビングへと歩く。

いつもと違う背中。
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