ナツメ
「座って」

キッチンの椅子に座る。

目の前にはコーヒーと目玉焼きとトースト。

違う。いつもと違う。

いつもはナツメが咀嚼して口移しで全部食べさせてくれるはずだ。

それなのに今日はフォークが置いてある。

わたしにフォークなんか必要ないのに。

トーストと目玉焼きは食べやすいように一口サイズに切られていた。

「それなら食べられるだろ? 朝は時間がないからね」

そう言ってナツメは自分の分を食べだした。

嫌だ。
そのナツメの口の中にはいってるものじゃないと。
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