ナツメ
お別れの日が近いからだろうか。

わたしを捨てる日が近いから、必要以上に情が移らないようにしている風にも見える。

人間がよくやるやつだ。

捨て猫を見て、飼えないなら優しくするなという、そういうくだらない優しさにも似ている。


確かに一度温もりを知ってしまったら、猫は野生を失って生きていくことができないかもしれない。

だけど、わたしに対してそうするには、もうナツメは愛を注ぎ過ぎた。


彼がそれを愛と自覚しているかいないかはわからないけれど、今さら冷たくしたところでもう遅い。
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