ナツメ
床に座っているナツメの前に、わたしもしゃがみこみ、その胸にドライヤーを押しつける。

怒られてもいい。
殴られたって構わない。

無言でナツメを睨みつける。

怒られるのを承知で、猫が人間にするみたいにして、頭を胸に擦りつけた。

服が濡れると怒るだろうと思っていたのに、ナツメは怒るよりも先にバッと身体を退かせた。

まるで得体の知れぬものに触れるように。
驚愕とわずかな戸惑い。

当然わたしの身体は前に倒れ込み、ごちっと床に頭をぶつける羽目となる。
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