嘘つきlullaby
しかし、体育館裏に着いた瞬間、その光景に呆然とすることとなる。
灰色のコンクリートに背をかけている少女に、見覚えがあったのだ。
白い肌。
腰まである栗色の長い髪。
常人離れした緑色の瞳。
見たことがあった。
去年の文化祭のパフォーマンスに出ていた、バンドのボーカル。
一際輝いていた、あの少女だ。
「五重愛多くん?」
響き渡るような声。
本人なんだ、小森萌黄って名前だったんだ、と驚きながら頷く。
同時に、自分の手の中の手紙を書いたのもこの子なのか、という疑問も抱かれてしまう。
しかし、彼女から発せられた言葉は、もっと驚くべきものだった。