嘘つきlullaby
第一部
001
翌日。
「……え、あの小森が?」
「んー」
朝、弥栄(ヤサカ)に昨日の事を話すと、少なからず驚いていた。
弥栄は愛多とは違い彼女のことは良く知っているはずである。
彼女のバンドのベースだから。
「だからさ、萌黄ってそういう奴なのかなって」
「萌黄?」
「だってあいつがそう呼べっていうから」
「嘘つけ。小森、名前で呼ばれんの嫌ってるぞ。特に男子には」
萌黄ちゃんなんていうと殺される、と軽口を叩きながら弥栄は笑う。
あの萌黄が? 小森じゃなくて萌黄です、なんて言ってた萌黄が?
愛多はますます混乱してしまった。