嘘つきlullaby


「マジで意味わからん……」

「確かにあいつ、意味わかんない奴だよな」

「やっぱり?」

「たまーにクラスから居なくなってるらしいし。遅刻もするけど、始末書にはならないらしいし。色んな意味で、意味不明」


弥栄はそう言うと、バンドの時の事を話し始める。

愛多はテキトーに聞きながら遅刻するという言葉に疑問を抱いていた。


彼女は不真面目、と言うわけではない。

ただ成績が悪いというだけで、学校をサボって遅刻するというわけではないことは明白だ。

そうでなければ学園のマドンナなんて相当無理。

かといってえこひいきもない、と愛多はおもっていた。

頭が良いならまだわかるとして、果たし状もわからないような馬鹿にえこひいきするならもっと違う奴がいるはずだ。


結論。

彼女には、何か秘密がある。


「……五重」

「ん?」

「聞いてる?」

「それなりに」

「……まあいいや、でさ、バンドの練習の時に――」
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