嘘つきlullaby
「あっ、カナちゃん!」
教室の扉が不意に開き、問題の萌黄か顔を覗かせると教室はわいた。
まず女子が久しぶり、こっち来るなんて珍しいねーなどと話しかけ、男子に至っては影で盗撮する奴もいる。
さすがマドンナ。アイドル扱いだ。
そんな群衆がひとしきり賑わった後、萌黄は愛多と弥栄のもとへ近づいてきた。
「おはよー! あれ、やさかん」
「……お前、やさかんって呼ばれてんの」
「お前だってカナちゃんだろ」
「お二人さん、仲良し?」
「仲良しってか……何て言うの? 腐れ縁?」
「えっ腐れ縁?! カナちゃんと?! 良いなぁやさかん!」
「羨ましいなやさかん」
「五重は関係ねーだろ! やさかんっていうな!」