藤井家の長男はしっかり者。
藤井奏多《ふじい かなた》
藤井家の長男であり、遥香の双子の弟。17歳の高校2年生。どちらかというとレベルが高い普通高校に通う長男は、人が良い性格で面倒見がいい頼れる兄ちゃん。しかしそんな奏多は末っ子、胡桃《くるみ》に甘く、
「うわぁぁぁん!!かなちゃああん!!お漏らししたぁぁあ!!」
「え!?お漏らし!?」
「ママに怒られるぅぅぅ!!うわぁぁん!!」
「ちょっ、まっ…!く、胡桃?大丈夫だから!な?」
「うわぁぁあぁん!!」
「く、胡桃、兄ちゃんが母ちゃんに怒らないように言っとくよ!な?」
「グスッ…ほんとぉ?」
「本当!だから泣くなよ、な?」
「ほんとのほんとぉ?」
「本当の本当。兄ちゃん嘘つかねぇよ?」
「ほんとのほんとのほんとぉ?」
「本当の本当の本当」
「よかったぁ!!ありがとーかなちゃん!!」
次男曰く「いいように使われてる」状態になることは決して少なくはない。
藤井日向《ふじい ひなた》
藤井家の次男。15歳の中学3年生。悪ガキで喧嘩三昧、呼び出し三昧の問題児。そんな日向は長男、奏多曰く『万年反抗期』らしく、その被害は主に奏多が受けている。
「おい、奏多」
「ん?」
「明日テスト」
「は?俺?違――」
「違ぇよ、俺だよ」
「あ、そう」
「………」
「…………え?だから?」
「赤点だったら、夏休みねぇ」
「うん?」
「は?お前なんなの?教えろって意味だろーが」
「………」
そしてその度、奏多は思う。何で教えてもらう側がそんな偉そうなの?と。