うさぎさんが好きないちごみるく




そんな出会いから数ヶ月。


季節は巡り……






僕は無事にりゅうと共にバスケ部に入部し、

3年生の先輩方は惜しくも全国の一歩手前で引退して、

引き継いだ僕たちの思いが新たに強まったところで1学期が終了。


夏休みのつらい合宿を乗り越えて、


2学期に入って暫くのもうすぐ文化祭
…といった今に至る。




























「あー…
あちー………」


「……そんなこと言ってるのりゅうくらいだよ…」



季節は10月です。



「校門の300M前で遅刻2分前だったにも関わらず間に合った俺を褒めたたえてくれよ!」

「寝坊?」

「もう超ダッシュ!」

「ばかだなぁ…」

「廊下走ってたら後ろで担任が歩いてるのが見えてさぁ…
もう焦る焦るー………って、ばか!!?」



僕の遅刻魔な親友は、今朝もダッシュだったようです。



「だって周りを見てごらんよ、りゅうさんや。
全校生徒が寒そうだよ?」


僕らの現在地は体育館。

集会のために全校生徒が集合しているわけです。


「うさが…
うさに…
ばかって……
うさが…
つめた……」


いまいち噛み合わない僕らの会話から運悪く自分の悪口を拾ってしまったらしいりゅう。ショックを受けたようで、灰のように呆然として日本語になっていない単語をぽつぽつとこぼしている。


「あー、はいはい。
涼しくなったでしょ?
朝からおつかれさまー」


「うさ…」


そんなりゅうをややぞんざいに慰めると、すぐに顔を綻ばせ、目をきらきらと輝かせる。



単純だなぁ。



「大好きだー!」

「うわぁ!?」



感極まったりゅうが僕に抱きついてくる。


急に抱きつくな、

身長差20㎝をなめるんじゃない!

第一、男子高校生が同級生の友人に「大好きだー!」って…

いたいよね…


あー、でもりゅうあったかー…











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