うさぎさんが好きないちごみるく




りゅうとぎゅーぎゅー抱き締め合ってると、


「君たちほんと仲いいねー」

「悠哉先輩っ!?」


背後から今では聞きなれた悠哉先輩の声がかかり、驚いてぱっと離れた。



むむ、逆にあぶないことしてた反応をとってしまったな…



「仲いいのもそーですけど、りゅうで暖とってたんですよー」


そう思ったのでさりげない風を装ってフォローを入れた。

………つもりだった。


「へぇー?
じゃぁ僕も暖とらせてよ?
うさたんで♪」


悠哉先輩への対応としては間違えたみたいだ。


「はっ!?」



どこからつっこめばいいのか、ちょっと混乱するよ!



とか考えてる間にも、悠哉先輩は遠慮なくぎゅーぎゅー抱き締めてくる。


あったかいといえば、あったかいんだけど…



「…ってそうじゃなーい!」

「ん?一人言はよくないよ?」


自分の心へのツッコミが、口に出てしまったようだ…

でも今はそんなこと気にしてる場合じゃない!


「悠哉先輩!」

「はい?」

「離してください!
先輩となら喜んで暖とりたい方が大勢いらっしゃいますから!
てかうさたんってなんですか!
僕は“うさみ”です!」


い、言ってやった…!

今日こそ先輩のうさたん呼びを改善…
「んー?
じゃぁうさりんにする?」

…されなかった……

むしろより悪い方向に進んでる気がする…




えー……




てかさりげなく離してくださいのくだりはスルーだし…








「そういうことじゃありません!」




(無駄に)有名人な悠哉先輩のおかげで、知ってる人から知らない人まで僕をうさたんだったり、うさちゃんだったり、うさぎだったり……などと呼ばれるという羞恥にさらされているというのに!

それを改善したかっただけなのに!


てか今が注目の的じゃないかーい?









「ハッ
やばいやばい」


現実逃避のために若干意識が飛んだ感じがする…


「大人しくなっちゃって…
俺に惚れた?」


もう一回意識飛ばしたーい……


「そんな訳ありません!
だから、僕はそういう趣味はないんですってば!!!」


「だってうさたんってば心地よさそうな顔してたからさぁ」


「してません!」




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