うさぎさんが好きないちごみるく
「やっぱあの2人お似合いだよなー」
「…うん」
並んで去っていく2人を見ながら、りゅうがぽつりと呟いた。
会長と副会長で、バスケ部のエースと美人マネージャーで、しかも聞くところによると幼なじみらしい。
………うん。どこからどー見てもお似合いだ。
「なぁ、うさ?」
「ん?」
「悪い知らせと悪い知らせがあるんだけど……
どっちが聞きたい?」
「……どっちも悪いんじゃん」
ふざけて聞いてきたりゅうに、口を尖らせながら返事をした。
りゅうは、僕がいちご先輩のことが好きなことを知ってる。
だから、このタイミングでりゅうの言う『悪い知らせ』って言うのは、たぶんいちご先輩がらみだ……。
「いーよ、どっちも聞くから」
僕は覚悟をきめてりゅうに話の先を促す。
「1つ目の悪い知らせは、一部じゃいちご先輩『年上キラー』って呼ばれてるらしいよ」
「年上キラー…?」
年上…
としうえ…
トシウエ…
って、まさか……
「後輩は範囲外ってこと……?」
「あー……」
しばらく頭のなかでぐるぐるして、やっと回線が繋がったと思ったら、行き着いたのは僕にとって最悪の憶測だった。
「ちょっとりゅう!どーにかしてよぉ!」
「いやいやどーにかって言われてもねー……まぁでもうさならきっといけるって!」
隣にいるりゅうに詰めよってがくがく揺さぶってやった。
でもやっぱり『りゅうの言い間違いでした』なんてことはなく………
そりゃあ僕がカッコいい系だったらいけるかもしれないけど、僕は真逆。本当に不本意だけど、正反対の可愛い系だ…。
「それで?もう1つの悪い知らせって何?」
「あー、もう うさ拗ねんなって!」