死にたがり



あたしの両親は別に、子供に対して無関心なわけじゃない。

きちんと褒めてくれるときは褒めてくれた。…小さいときは。


参観日に来なくても、夕食が一人でも、テストでクラスの中で一番になっても、凛と喧嘩しても。

――――両親がいなくて寂しいなんて思ったことはない。



たまに顔を合わせたら話してくれるし、だから両親のことを嫌いだと思ったこともない。

反抗期も来てない。
…両親は仕事に追われてるんだ。それを娘のあたしが【我が儘】なんて言ったところでなんの意味もない。




「…あたしは寂しくないし、我が儘言ったところでなんの意味もないよ」

「言うだけ言えばいいだろ。なんの意味もないとか言うなよ」

「事実じゃん」




テレビの中ではいつのまにか猫はいなくなっていた。

変わりに女性アナウンサーがいて、今日あった事件について話してる。


事故、殺人、自殺、薬物乱用、スキャンダル…

終わりの見えない幾つものニュースから視線を外した。こちらを見る凛に視線を滑らせる。



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