死にたがり
「あ、おかえりー」
「うん」
「そういえばさ、友梨知ってる?隣のクラスの女子から聞いたんだけどさあ」
瑠美と過ごす昼休みは、絶対に一回は噂話を聞かされる。
瑠美に限らず、女子は皆噂話が好きらしい。
あたしはそういうのに疎いというか、あまり話にのれない。
それを瑠美はきっと理解した上で話してる。彼女はあたしの前では他人の陰口は叩かない。
多分それは、あたしだと曖昧な返事しかしないからだと思う。
『あの子はあまり好きじゃない』と瑠美に言われても、あたしはその子のことを詳しくは知らないだろうから、
『そうなんだ』としか言いようがない。それは仕方ないけど、…期待した返事が返ってこないのはわかってるから、彼女はそういったことは言わないのだろう。
「あ、ねえねえ。友梨って彼氏といつから付き合ってるの?」
開けた弁当箱から箸でお菜を取って、口に運びながら瑠美の話に耳を傾ける。