死にたがり
「で、友梨今日はなに作んの」
「…食べてくの?」
「冷蔵庫空っぽなんだよ今」
凛はまたソファを占領してる。あたしの座るスペースはない。…座る気ないけど。
今日はテレビは見ないのか。そんなことを思いながら口をつく。
「うちだってそんな美味しい物出せないよ」
「いいよ、食えれば」
「…」
「え、なに否定して欲しかったのかよ」
「…そういうわけじゃないけど」
まあ、あたしは一通りの家事はするけど、料理とか人より並外れた才能なんてまず持ってない。
とりあえず食べられるものなら作れるけど。他人に自慢出来るようなものは作れない。
というより。
「あたしより凛が作ればいいんじゃないの。キッチン勝手に使ってもらって構わないし」
「なんで俺なんだよ」
「だから、あたしはそんなに料理得意じゃないんだよ」
凛には何度か食べさせてもらってるけど、あたしなんかが作る物より断然味が整ってる。
凛が作ればいいよ。あたしじゃなくて。