死にたがり
このシャーペンでだって方法さえ考えれば人一人殺せるんじゃないのか。
ならあたしだって消えることが出来る。…ああ、落ち着けあたし。今は授業中なんだから。
「だから無くなっていい命なんて無いんです。そんななかで今増えてきてる自殺に、皆はどう感じますか?」
教卓に手をつきながら教室にいる全員に語りかける教師。
自分の机に無造作に敷かれた作文用紙に視線を落とす。
再びゆるゆると視線を前に戻す。黒板には白いチョークで【命】と、たった一文字書かれていた。
「誰もが持っている生きる権利や『命』について皆はどう思いますか。それらを作文に書いてみましょう。どんなことでもいいので、自分が『命』について考えたことを書いてください」
「……」
命、か。
そんな題材が出されたからか。さっき【自殺】についてなんとなく考えたのは。
そうだったっけ。そうなんだ。納得しながらシャーペンの先から出た芯を紙に向ける。