死にたがり
***
「なあ友梨、俺の変わりに作文書いて」
「嫌」
夕方になると烏がカーカー鳴いてる。烏ってなんでこうも煩いんだろう。
だけどそれよりも、今はあたしの家のリビングでソファに体を預けてる男の方が、煩い。
「作文とかわけわかんねーよ。義務教育終えた高校生がやることじゃないだろ」
「高校生でも作文は書くでしょ」
「友梨はもう書いてあるんだろ。なら俺のやってよ」
「嫌だって」
なんであたしが。
作文だってほいほい文字が思い浮かんでくれるわけじゃない。
それに文を書くのは苦手だ。己の考えを文字にするのも言葉にするのも、難しいから。
だから作文だって悪戦苦闘した方。作文用紙四枚に【命】についての意見を書かなきゃいけないなんて、そんな重労働もうしたくない。
「…あたし疲れてるんだけど」
「どこが。疲れてる顔してねえよ」
「見間違いじゃないの」