死にたがり



「…凛なんでうちにいるの」

「いつもじゃん」

「いつもだけど」




この男の名前は凛(りん)という。

全く凛としてない。名付け親が可哀相だ。あたしが言えたことじゃないけど。




「てか彼氏なんだから良くね?俺がいなきゃ何も出来ないじゃん、友梨」

「彼氏ってほど彼氏じゃない」

「いや彼氏だろ。付き合ってるじゃん」

「……」




あたしと凛、お互いの関係を言葉にするとしたら『幼馴染み』でもあるし『恋人』でもある。

謂う所の、彼氏だけど。




「今日も帰ってこないんだろ、両親とも」

「帰ってこないんじゃない」

「素っ気ねー。寂しがり屋の友梨の為に毎日来てやってんのに」

「頼んでない。第一、家隣じゃん」

「照れ隠し」

「してないって」




あたしの家は両親とも共働きで家を空けてるのが殆どだった。

小学生のときからそうだったし、高校生にもなって今更寂しいだなんて思うわけがない。煩い凛に言い返す。



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