死にたがり
「猫飼いたい」
「は?」
「猫飼いたくね?」
「いや別に」
突然なにを言い出すのかと思ったら。そんなことをいきなり呟いた凛の視線はテレビに一直線に向かってる。
画面に映し出されるのは茶色い毛をして丸い目をした猫だった。確かに愛らしいといえばそうかもしれない。
飼いたいとまでは思わないけど。
「なんで飼いたいの」
「猫って自由気ままじゃん。なんか羨ましい」
「羨ましいのと飼いたいのは違うよ、凛」
全然違う。
というより羨ましいから飼う、といのはそもそも間違ってると思うんだけど。
だけど当の本人はもう猫から興味を無くしたらしい。切替が早すぎる。
「友梨」そうして私の名前を呼ぶ。次はなんだろう。
「なに」
返事をしながら窓の外をちらりと見た。凛はいつまでうちにいるんだか。
きっと今日も、またお互いの家に両親は帰って来ないだろう。