あやふや

「言っとくけど私幽霊じゃないから」

 女は、いつの間にか貴代の耳元まで来ると囁いた。

 ちょっと待ってよ。
 
 貴代は恐怖で動けない。

「今の状況一番信じられないのは私自身なの。

 私、自分の家の中で中々帰ってこない佳祐を待ってて、

 テレビ見ながらソファの上でウトウトしていたら

 突然こんな場所に居て

 どうしてこうなったのか解らないの」
< 7 / 28 >

この作品をシェア

pagetop