本気の恋の始め方
彼の嫉妬、恋心
「三木さん、珍しいね。残業?」
外出していたらしい男性社員が、自分のデスクの上の天井のみ明かりをつけ、PCのキーボードを叩いている私に向かって声をかけてきた。
「はい、すみません。どうしても終わらなくて。後少しなので警備室には私から連絡しておきます。お疲れさまです」
今日の午後はまったく仕事をしていないから、溜まりに溜まった仕事が山積みだった。
単純な入力作業と、資料作成、その他経理に持っていく伝票の整理なんかの雑務。
けれど今の私には、余計なことを考えずに没頭できる仕事があるほうがありがたい。
一人のマンションの部屋に帰ればきっと、泣いてしまうから。
自業自得なのに
るうくんのことを思い出して、傷ついてしまう……。
今日はぎりぎりまで残業しようと心に決めていた。