本気の恋の始め方
見てしまった、無駄な脂肪がひとかけらもない、彼のきれいな上半身。
着やせするんだ――って
いや、知ってたけど、完全に気を抜いていたから不意打ちにもほどがある。
「潤さん、恥ずかしがってる? だけど見慣れてね。俺、夏は家ん中いつもこんな感じだから」
水滴で濡れた彼の髪、頬、からだ。
きれい……だけどだめ、刺激が強すぎる。
「見慣れるなんて、無理よ。私の部屋の中ではちゃんと上も着てください」
「えぇー」
「ダメならもう家には上げないから」
そんなつもりはさらさらないけど、恥ずかしさのあまりそんなことを言っていた。
「それは困ります。ちゃんと着ます」
千野君は慌てたように、Tシャツを頭からかぶる。
ああ、よかった。