本気の恋の始め方
私はバカだ。
最初から「彼女の代わり」でいいと彼に迫ったのに。
たった一度抱いてもらったらそのことを忘れて、自分が特別な存在になったんじゃないかって勘違いしてしまった。
るうくんは、彼女……ゆきさんが好き。
別れ話が持ち上がったのかもしれないけど、結局彼女がるうくんの元に帰ってきたのなら、代わりの私は、もう必要ない……。
強い風に吹かれて、雨が頬を打つ。
急に寒気がやってきて、ふと自分の体を見てみたら、全身びっしょりと濡れていた。
「さむ……」
口にしたとたん、ガクガクと震えが止まらなくなった。