本気の恋の始め方
――――……
「目が覚めたら、抱いたはずの潤はいなくて……その意味を考えてたら彼女が訪ねてきたんだ。
話し合いを拒否した俺に、改めて別れ話をするために」
声を抑えてそう口にしたるうくんは、テーブルの上で重ね合った手の力を緩める。
別れ、話……?
「――私は……私は、るうくんは彼女とよりが戻ったんだとしか思わなかった。だからるうくんに顔を合わせられないまま、逃げるように引っ越して……」
乾いた声が聞こえる。
まるで自分の声じゃないみたい。
他人事のようにそんなことを感じていた。
「俺は――潤は俺に会いたくないんだろうって思った」
「そんな……」
「いくら潤が俺のことを思ってくれていたとしても、いざあんなことになったら、後悔したんだろうって……
だから会いたくないんだろうって……。
だけどさ、俺はちゃんと謝るべきだったんだよ」
「塁……」
「あの状況でお前に手を出すなんて最低だった……ごめん」