本気の恋の始め方

るうくんは手をテーブルの下に引いて膝の上で握りしめると、一度しっかりと頭をあげ、それからテーブルにおでこがくっつきそうなくらい、深々と、私に向かって頭を下げた。


あのとき、るうくんに、拒まないでと無理を通したのは私だったのに……。


気まずくてあわせる顔がなかったから

逃げたのは私も同じなのに……。



「小さいときから近くにいて、よく知ってると思ってたのに、なにも知らなかったし、知ろうとしなかった」



別れ際、るうくんはそう自嘲するようにつぶやいて私に手を差し出す。



「握手」

「――うん」



うなずいてその手をとり、握手する私たち。



暖かくて大きな手。


大好きだった、るうくんの、手……。





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