本気の恋の始め方
輝くような笑顔で「お邪魔します」と礼儀正しく部屋にあがる。
そしてキッチンで準備をしている間に、Tシャツと細身のスウェットに着替えて、私を後ろから抱きしめてきた。
「潤さん」
私の肩の上に顎を載せて、両手を私のおなかの前で組む。
「ちょ、ちょっとくっつきすぎよ?」
あまりの密着度に動揺して声が震えてしまった。
「まぁまぁ、いいじゃないですか」
千野君はそう言って、いっそう体を近づけて
「俺はもっとくっつきたいです」
なんて耳元で甘くささやく。
後ろから全身に千野君を感じて、顔が熱くなった。
やっぱり千野君ってスキンシップ過多な気がする……。
「おなか空きました」
千野君に言われて時計を見れば、もうすぐ八時。
「もう出来るよ」
「うん。潤さんの手料理なんて夢みたいだ」
嬉しくなるようなことを言いながら、後ろから顔をのぞき込んでくる彼は、にっこりと微笑みながら可愛らしい表情を作って、私にすり寄ってくる。