本気の恋の始め方
ベランダには小さなプランターがある。
毎年植えている、バジルとプチトマト。
最近種を蒔いたばかりだから、芽が出るのを死ぬほど楽しみにしてるんだ。
食べられる・食べられないじゃなくて、育っていくのを見るのが楽しいの。
ふんふ~んと鼻歌を歌いつつ、じょうろを持ちベランダに出たところで
「潤さん!」
下から声がした。
「――へ?」
窓からベランダの下をのぞきこむと、真下の部屋のベランダに立っていたのは、なんと千野君で。
う、そ。
なんで千野君がいるの!?
目が点になった。
「今からそっち、行きますね」
「え!? ちょ、はい!?」
「逃げられませんからね!」