本気の恋の始め方

「――」



どうしよう。

お互い無言で見つめあう私たち。



彼が否定しなかったから?



ちょっと胸がジリジリする。



「いや……」



千野君は少し考えるように黙った後

「――あれ、妬いてます?」

なんて、軽い調子で聞き返してきた。



「えっ!?」

「嬉しいな」



そして後ろから私を抱きしめて、顔を近づけてくる。

なんだか軽くはぐらかされたような気がした。


だけど、千野君くらい素敵な男の子だったら、そりゃ過去に料理くらい作ってくれる彼女がいて当たり前だとも思うし……

私の質問に「そうですよ」って返事されるほうがずっと悲しいと思うし……




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