本気の恋の始め方
大声!?
それは困る!!
冷静になって考えれば、彼がそんなことをするはずないんだけど――
この時の私は相当にテンパっていたのか、素直にうなずいてしまっていた。
「あ、開けるから、ロック、開けるから、足、引っ込めて……!」
「はい」
すっとスニーカーの足が引っ込んだ。
そしてロックを外すと同時に、ドアノブが外に向かって引っ張られる。
「きゃっ……」
千野君がドアの内側に入ってきて、ふらつく私の体を支えるように抱きしめる。
「あ、お風呂入ったんだ。シャンプーいいにおい。どこのですか?」
私の体をきつく抱きしめた千野君は、すんすんと頭のてっぺんに顔を近づける。