本気の恋の始め方
ようやく頭が目覚め始めた私。
慌てて振り返ると、
「千野君じゃないでしょ」
たしなめる言葉と、唇に優しいキスが落とされた。
「おはよう、潤さん」
彼はにっこりと微笑んで、それからまた、ちゅっとおでこに唇を押し付ける。
この、キス魔め……
そんなことを思いながら
「おはよう、千早」
と彼の名前を口にする。
ちはや。
きれいな名前だと思うけど、唇にのせるとなお、甘美に響くのは彼が私の最愛の恋人だからだろうか。
Tシャツにスウェット姿の彼は、そこでようやく満足そうにうなずいた。
千野君――
千早とおつき合い始めてはや一ヶ月。
週末は必ず私の部屋にお泊り。そして今日はそうやって二人で過ごす、何度めかの週末の朝。
窓の外を見ると、カーテンの隙間から太陽の光が差し込み始めていて、時計はすでに8時を指していた。
「朝ご飯、すぐ作るね」
「うん。俺、ペコペコ~」
千早は人なつっこい笑顔で、ベッドから出た私のあとをついてくる。